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棟方志功 買取させていただきました
02 .13 .2022
鎌倉の骨董屋R antiquesです。
棟方志功の版画、鎌倉在住のお客様から
買取りさせていただきました!
険しい山の崖先に
こちらを向いてとまっているのは
鷹でしょうか?
大胆に、勢いよく彫られていった跡が
力強く目を引くこの作品は
今回紹介する
のちに『世界のムナカタ』として
木版画の巨匠となった、
棟方志功によって生み出されました。
棟方は1903年、
青森県の刀鍛冶職人の三男として誕生しました。
青森の厳しい豪雪地帯出身のため、
囲炉裏の煤で眼を病み、以来極度の近視となり、
分厚いメガネがトレードマークとなっています。
そんな生まれの彼でしたが
一枚の絵との出会いよって大きく人生が変わります。
18歳の時、
青森市在住の洋画家・小野忠明から見せられたのは、
雑誌『白樺』に掲載された
ゴッホの「ひまわり」の原色版。
その生命力あふれる
海の向こうの国で生まれた絵に
棟方は深い感銘をうけます。
『わだばゴッホになる』
と叫んだという話はここから有名になりました。
大正13年、21歳の時、志を立て上京。
靴直しの注文取りや納豆売りなどをして
苦労しながら絵の勉強を続けました。
そんな日々の中で彼は
油絵の在り方に疑問をもち始めます。
西洋からやってきた油絵では
西洋人より上に出られないのではないか?
日本という国から生まれでる仕事がしたい。
そんなふうに考えた棟方がたどり着いたのが
憧れのゴッホも高く評価したという
日本の木版画でした。
彼はそこから
強烈な独特の表現を生み出していきます。
それらの作品には土着性を感じさせる
プリミティブな生命力溢れるの躍動感と、
力強く生き生きとした
ダイナミックな迫力が溢れていますね。
彼の作品は民藝運動で知られる
柳宗悦の目にも留まり交流が始まります。
棟方は柳を絶対的な師匠と仰ぎ、
棟方の才能を認め愛し応援し続けた柳。
彼らの間ではたくさんの
文通が発見されています。
些細なやり取りに
彼らの親交の深さが窺えますね。
作品を精力的に生み出し続けるうち
棟方は次第に自らの木版画を
「板画」と呼ぶようになりました。
「板画」という言葉には、
板の性質を大事に扱い
木の魂を表に生み出さなければならない
という想いがこめられています。
彼にとって作品を作り出すことは
「木に彫らせてもらう」
そんな作業だったようです。
極度の近視にもめげず、
眼鏡が板に付くほど顔を近づけて
顔に怪我をしそうなほど
エネルギッシュに板画を彫っていた姿はよく知られています。
彼の独自性はその色彩からも溢れています。
棟方の郷土を愛する心は人一倍強く、
青森の凧絵やねぶたに心をよせていました。
まるで紙の裏からぼんやりと
明かりが浮かび上がるような
印象的な色彩。
これもまさに
幼少期から瞼の裏に焼きついた
郷土の色であったことは
疑いようもありません。
『在るものをまっ裸にしたものこそ
ぼくの世界』
彼は亡くなる2年前に
そんな風に語っています。
木の内側にある
本質的な何かを彫り出していくように
独立独歩で歩んだ
棟方志功もまた、
自らの内面にある
心を作品に反映し続けた版画家だったんですね。
何度見ても
味わい深い作品です!
R antiques では
棟方志功の作品、買取りいたします。
鎌倉、逗子、葉山、藤沢、辻堂、茅ヶ崎、平塚、大磯、小田原などの地域の骨董品の買い取りも行っております。
何かございましたらお気軽にご相談ください。